現在の音楽鑑賞法の限界 |
従来の音楽鑑賞は,聴きたい楽曲の選択後は,そのまま再生して楽しむだけの受動的な体験であった.そこで後藤らは,楽曲中で能動的に聴きたい箇所を容易に頭出しできるよう,楽曲構造(サビの位置など)を表示できるサビ出し機能付き音楽試聴機SmartMusicKIOSKを考案した.しかし,歌声を集中して聴くため他の楽器パートの音量を下げたり,ドラムスの演奏パターン(ドラムパターン)を自分の好みに合うように編集しながら音楽鑑賞をするといった,リスナのより能動的な要求を満たす技術はこれまで存在しなかった.
新しい音楽鑑賞法 |
本研究では,市販CDレベルの複雑な音響信号中のドラム音認識技術に基づく新しい音楽再生インタフェースについて述べる.これを用いれば,ドラムスの音量や音色,ドラムパターンなどをリアルタイムにコントロールできる.例えば,楽曲のビート感をより出したければ,ドラムスの音量を上げればよい.ドラムスの音色が気に入らなければ,好みの音色に差し替えてもよい.ドラムスのミキシングバランスが気に入らなければドラムスの音量のみを調節できる.また,ドラムパターンは楽曲のグルーヴ感(ノリ)と密接に関係しているため,それを変更することで,楽曲の印象を変えながら音楽を楽しむことができる.
今回開発したオーディオプレイヤーDrumixでは,誰でも直感的にドラムパート編集が行える.音量を調節するにはスライダを移動させればよく,音色を差し替えるには,リストから好きな音色を選択すればよい.また,視覚化されたドラムパターン集合から適当なパターンを選択するだけでドラムパターンを変更できる.
発表用資料 |
デモビデオ |
ビデオ撮影時のDrumixはプロトタイプであることをご了承ください. 最新版では,オリジナルの発音時刻表示やそれを雛形にしての編集機能, 編集箇所とオリジナル箇所の色分けなどが実装されております.
INTER:Dデモページもご覧下さい.
参考文献 |
謝辞 |
本研究は RWC研究用音楽データベースを使用しております. 関係者の方々に感謝します.