日時:6月24日(金)
場所:早稲田大学 理工学部 55S号館2階第4会議室
音声対話のための知識の構造化に関する考察 西田豊明 (奈良先端大)
対話文生成における古典的プランニング vs. 事例ベースプランニング 上原邦昭 (神戸大学)
省略語概念推定問題としての音声理解 横田将生 (福岡工業大学)
発話理解と知識表現 佐藤理史 (北陸先端科学技術大学院大学)
西田豊明 武田英明 錦正信 (奈良先端科学技術大学院大学)
対話管理に用いる常識サーバの役割は、一般的な対話システムの知識 サーバと似ている。本稿では我々が現在構築中の対話型システムの知 識サーバを紹介する。私たちは、マルチエージェント系の新しい応用 として、専門書などを構成するドキュメントを複数のエージェントに よって管理するシステムを構築中である。このシステムでは、ユーザ の要求に対応するドキュメントをユーザの視点に沿って構成して出力 する。適切なドキュメントを抽出、構成するには、常識や専門知識を 構造化したオントロジーとして持っておく必要がある。この論文では、 まず始めに、知識が常識と専門知識にわかれることを述べる。つぎに それぞれの構造化の手法を店舗施設の知識を例にとって説明する。最 後に一連の手続きからなるメソッドをもちいた知識の利用方法につい て述べる。
上原邦昭 谷口実 (神戸大学)
本稿では、事例ベースプランニングに基づく対話管理システムについ て検討する。本システムは、まず過去の失敗事例を用いてユーザのゴー ルを達成する上で障害となる問題を予測する。つぎに、予測された問 題を回避しながらユーザのゴールを達成するのにもっとも適切なプラ ン事例を検索する。失敗事例とプラン事例が得られると、両者を適合 化し、さらに統合化して新たなプラン事例を生成する。プラン事例の 実行段階では、プリミティブなプラン列を1ステップごとに実行しな がら、ユーザからのフィードバックを観測する。ユーザからのフィー ドバックが予測されたものと異なる場合には、プラン事例に対して修 正・洗練化などの操作を施しながら、すべてのプリミティブなプラン を実行し終るまでこの操作を繰り返すようにしている。
横田将生 (福岡工業大学)
音声認識の理想は、話者の発話を文章として一字一句忠実に再現する ことである。しかしながら、実際には、そのことは極めて困難である。 我々が構築しようとしている音声理解システムは、内容的に妥当であ れば、発話者の表現にはこだわらない出力を行わせるものである。こ のような処理は、もはや、音声の波動としての物理的な特徴に関する 処理範囲を超えた自然言語理解処理、特に、概念処理の領域に属する ものとなる。そして、不完全な音素列あるいは文字列として知覚され た音声情報の理解は、自然言語理解研究における重要な課題一つであ る省略語概念推定処理とほほ等価となる。
佐藤理史 (北陸先端科学技術大学院大学)
本稿では、「対話からの知識獲得」というテーマにおける、著者の基 本的な研究方針とその現状について簡単に報告する。我々は「知識ト ランスファー」という立場から、対話を研究する。そこでの主要な研 究課題は、知識表現、および、知識表現と言語表現の変換の問題であ る。我々は、中島によって提案された情況理論に基づいた知識表現を 採用し、発話(言語表現)を情況表現に変換する方法について検討して いる。スペースとリバース・スペースという記法を導入することによっ て、異なる発話表現が同じ意味内容を示すことが説明できる。